左から秋庭理事長・柏崎市歌代さん・東京大学班目教授
私たちの生活は、さまざまな技術、そして、それらを安全に運営する多くの人たちの努力によって支えられています。しかし、近頃、おおきな工場や原油タンクの火災など思いもかけない事故が続きました。このような中、私たちは安全、そして安心についてどう捉え、理解していけばいいのでしょうか。日本の電力の1/3を担う原子力発電に焦点をあて、維持基準など新しい原子力安全規制の専門家班目先生からお話いただくとともに、生活者を代表して柏崎の歌代勝子さん、首都圏の秋庭あすかエネルギーフォーラム理事長の質問にもお答えいただきました。
引き続き行われた意見交換会では、個人参加の電力関係者も含めた性別・年代も様々な参加者が生活者の視点で率直・活発な意見を交わしました。
異物混入について
・「二度としません」と言いながら、また理解できない事が出てきて東電が信じられない。どんな心構えで取り組んでいて靴がプールに落ちるのか。もっと隠している事があるのではないか。
・実際に作業しているものから言うと、重いものより軽いものが危ない。線量アラームがすぐ鳴ってしまうので、続けて作業ができない。
・電力会社と下請け会社のコミュニケーションが欠けていることが問題。
安全性について
・3交代制の現場、半日仕事を2時間で終わらせとの指示など、トラブルはないが、いずれ大きな事故になるのでは?
・万一に備えての避難訓練がない事が不安だ。また、一時避難しても、その後どうなるのか、そういう説明は国からも会社からもされたことがない。
・原発の事故は電力会社ではなく、国が責任を取るべき。
情報公開
・会社の隠蔽体質、小出しにする体質が問題。
・情報公開についてはコストをかけても各階層に届くようにするべき。
・情報開示のシステムに内部告発を組み入れるべき。そうしないと建前だけになる。
・事実を知らせることが一番。今は告発の時代だから隠しおおせるものではない。「時代が変わった」ことを強く認識するべきだ。
人材の育成が大切
・企業の社会的責任を問われている。メーカーも電力も下請けもそれぞれが反省して意思疎通を図るべきだ。法律の規制とコスト計算が優先して、個別の作業が進んでいる。
・長い間現場にいて、安全については人間の育成が大切だと思う。
・「あの人は信用できるけど、あの人の勤めている東電は信用できない」といわれる事が多い。最終的には人間の問題。
交流の場が必要
・東電はコミュニティ単位で説明しても、一方通行の内容である。今日のような分かりやすい形式の場は大切。
・原子力に関して自由に討論できる会は無い。
・反対派は、知識のない人に対して不安をあおる。町内単位のような形で、何人かまとまって話し合いたい。
・反対派の言う事を聴くと、本当にその気になってしまう。今、冷静に考えるとなんでと思う事もある。みんなが話し合って、きちんとした話を聞き、各人が納得して判断することが大切。
東京電力の広報について
・班目先生のお話は、私たちに分かる言葉で説明をしてくれて、とてもよかった。東電が話をしたら、単なる説明に終始したと思う。
・東電は自分たちのことをわかってほしいと説明するばかりだが、住民の視点での説明がない。理解してもらいたいという気持ちは分かるが、それでは住民には伝わらない。難しい言葉で話されると、知らせたくない事があるのかと思う。
・戸別訪問されたが、そこでは意見は言えない。対人関係が壊れると怖いので、「そうですか」としかいえない。
話し合いの最後に、歌代さんから、「東電が変わろうと努力しているのはとても感じる。長く共生するためには、市民の気持ちを感じ取ってもらう良いチャンスだと捉え、誠実に対応して欲しい」との要望がありました。今、市民と東電との更なるコミュニケーションが必要だと感じました。そのためには、どのようにすればよいかをお互いに先ずは同じテーブルで話し合う事が必要だと思いました。
生活者のエネルギーネットワークを目指して、さらにがんばります!
設立を記念して、第一回講演会を開催いたします。どうぞ、多くの皆様のご参加をお願い申し上げます。
日時:2004年2月12日(木)18:00~20:30
場所:アルカディア市ヶ谷(私学会館)
プログラム:第1部 基調講演:神津カンナ氏『拡げよう!生活者のエネルギーネットワーク』
第2部
設立記念パーティー
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